「電話が苦手」でも大丈夫!新入社員向け電話対応マニュアル 〜基本マナーや対応方法を解説〜
新入社員にとって、ビジネス電話への対応は最も緊張する業務の一つです。特に近年はSNSやメールでのコミュニケーションが主流となり、電話での会話に不慣れな若手社員も増えています。
しかし心配無用です。電話対応は正しい知識と実践で必ず上達するスキルです。
本記事では、電話が苦手な新入社員向けに、基本的なマナーから実践的な対応方法まで解説します。「電話が鳴るとドキドキする…」という方も、この記事を参考に自信を持って電話に出られるようになるはずです。
電話が苦手な方へ、不安を和らげる準備と心構え
電話応対に苦手意識を持つのは、新入社員の中でもごく一般的なことです。まずは自分だけが悩んでいるわけではないと理解し、具体的な準備と心構えで不安を軽減していきましょう。
なぜ緊張するのか?新入社員が電話を怖がる理由
新入社員が電話対応を怖がる理由はいくつかあります。まず、リアルタイムで対応しなければならないプレッシャーがあります。メールと違い、考える時間が限られているため焦りを感じやすいのです。また、相手の顔が見えないことで「どんな表情で話しているのか」がわからず、不安が増幅します。
デジタルネイティブ世代は電話での会話経験が少なく、敬語や正しいビジネスマナーに自信がない場合も多いでしょう。「間違えたら会社の評判を下げてしまう」という責任感も、緊張の原因となります。
落ち着いて電話に出るためのコツと準備
電話対応を落ち着いて行うための具体的な準備をご紹介します。
まず、デスク周りを整えましょう。電話のそばには必ずメモ帳とペンを常備します。電話を取る前にペンを持ち、書ける状態にしておくと安心感が違います。また、社内の電話番号一覧や部署別担当者リストなども手元に置いておくと、取り次ぎがスムーズになります。
次に、基本的な応対フレーズを事前に練習しておきましょう。「お電話ありがとうございます。○○株式会社△△部の□□です」という挨拶や、「少々お待ちください」などの定型文を声に出して練習しておくと、実際の場面で言葉に詰まりにくくなります。
電話が鳴ったら、すぐに出る前に深呼吸を一つ。これだけで心拍数が落ち着きます。また、実際の通話では意識して普段よりゆっくり話すことを心がけましょう。緊張すると早口になりがちですが、ゆっくり話すことで自分も落ち着きます。
「失敗しても大丈夫」と思える心構えを
電話対応で大切なのは、失敗を恐れすぎないことです。ベテラン社員でさえ、時には聞き間違いや言い間違いをすることがあります。
もし聞き取れなかったら「恐れ入ります、もう一度お名前をお伺いできますでしょうか」と素直に聞き返すほうが良いのです。また、わからないことがあれば「確認してご連絡いたします」と伝え、一度電話を切って先輩に相談するという選択肢も有効です。
電話対応は「会社の顔」となる重要な仕事です。「苦手だけど、一つずつ克服していこう」というポジティブな姿勢で臨めば、必ず上達していきます。
聞き取れない場合や聞き間違いを防ぐ手段として、通話の録音があります。
後ほど録音音声を聞き返すことで通話内容を確認することができます。
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知っておきたい電話対応とビジネスマナーの基本
ビジネス電話には守るべき基本的なマナーがあります。これを押さえておけば、初対応でも大きく外すことはありません。
電話の受け方・名乗り方・話し方の基本ルール
電話は2〜3コール以内に出るのが基本です。電話に出る際は「お電話ありがとうございます。○○会社△△部の□□です」と、会社名・部署名・自分の名前をセットで名乗りましょう。ビジネス電話では「もしもし」は使いません。
話し方では、明るく聞き取りやすい声を心がけましょう。普段より少し大きめの声で、はっきり発音することを意識します。
相手の話を聞く際は、名前や要件を復唱しながらメモを取ります。「○○株式会社の△△様ですね」と確認の言葉を挟むことで、聞き間違いを防げます。
取り次ぎ・不在時の対応はこうすれば安心
多くの場合、外線電話は他の社員宛の用件です。相手の要件を聞いたら、適切な担当者に取り次ぎましょう。「かしこまりました。担当の○○にお繋ぎいたします。少々お待ちください」と伝え、保留にします。
保留時間は30秒以内を目安にしましょう。それ以上かかりそうな場合は、一度電話に戻り状況を伝えます。
担当者が不在の場合は、「申し訳ございません。○○はただいま席を外しております」と伝えましょう。社内の人には役職名を付けないのがマナーです。また、詳しい不在理由は伝えず、単に「席を外しております」と言うのが無難です。
その後、「戻り次第こちらからお電話をおかけしますか?それとも伝言をお預かりいたしましょうか?」と選択肢を提示します。
やってはいけない言い回し・NGマナー集
電話対応でやってはいけない言動をいくつか紹介します。
「えーと」「あのー」などの間投詞を多用するのは避けましょう。また、「ちょっと待ってください」「わかりません」など、ぶっきらぼうな言い方も禁物です。代わりに「少々お待ちいただけますでしょうか」「確認させていただきます」など丁寧な言い回しを使いましょう。
相手が名乗ったのに「どちら様ですか?」と聞き返したり、社内の人の不在理由を詳しく伝えたりするのもNGです。また、長時間保留にする、受話器を乱暴に置く、相手より先に電話を切るといった行為も避けるべきです。
メモを取らずに「覚えておきます」と言うのも危険です。必ず書き留め、伝言は確実に届けましょう。
新入社員向け電話研修の実施ポイント
多くの企業では新入社員研修の一環として電話対応研修が行われます。研修を効果的に活用しましょう。
電話対応研修の目的と効果
電話対応研修は、単に「電話の取り方を教える」だけではありません。ビジネスマナー全般や顧客対応の基本姿勢を学ぶ機会でもあります。
研修で得られる効果としては、まず基本的な電話対応スキルの習得が挙げられます。また、ロールプレイングを通じて実践的なトレーニングを積むことで、実際の場面での対応力が磨かれます。
さらに、電話対応はコミュニケーション能力全般の向上にも繋がります。「相手の意図を正確に汲み取る」「的確に情報を伝える」といったスキルは、ビジネスシーンのあらゆる場面で役立ちます。
ロールプレイでの実践練習の進め方
電話対応研修の中心となるのが、ロールプレイ(模擬練習)です。通常、2人1組になり、一方が電話をかける役、もう一方が受ける役を演じます。
練習の際は、実際に使用する言葉をそのまま発してみることが大切です。頭の中でシミュレーションするだけでなく、声に出して練習することで、本番での言い間違いや言葉に詰まる事態を防げます。
相互フィードバックも重要です。練習後にお互いの良かった点・改善点を指摘し合いましょう。「声が小さい」「敬語が不自然」といった指摘は、自分では気づきにくいからこそ貴重です。
IT業界でも必要な「電話力」とは?
IT業界では社内コミュニケーションにチャットやメールを使うことが多く、電話の重要性は低いと思われがちです。しかし、実際にはIT企業でも電話対応スキルは依然として重要です。
IT業界特有の状況として、技術的な専門用語が飛び交う中での電話対応があります。聞き慣れない単語やプロジェクト名などが出てきても、慌てずに正確にメモを取る力が求められます。
電話は「すぐに回答が必要な急ぎの案件」や「複雑で文章では伝わりにくい内容」に選ばれるコミュニケーション手段です。だからこそ、電話がかかってきたら「重要度が高い可能性がある」と認識し、真摯に対応することが求められます。
新入社員がよく悩む電話対応Q&A
新入社員が電話対応で直面しがちな悩みについて、Q&A形式で解決策を紹介します。
聞き取れない・わからない時の対処法
Q: 相手の名前や会社名が聞き取れなかった場合はどうすればいいですか?
A: 遠慮せず「恐れ入ります、お電話が少々遠いようで…もう一度お名前をお伺いできますでしょうか?」と正直に聞き返しましょう。聞き取れないまま対応を続けるより、確認することが信頼につながります。
Q: 質問の内容がわからない、答えられない場合はどうすればいいですか?
A: 「申し訳ございません、ただいま確認いたしますので少々お待ちいただけますでしょうか」と伝え、いったん保留にします。30秒以上かかりそうなら「○○について確認の上、折り返しご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?」と提案しましょう。新人が全てを知っているわけではないので、わからないことは先輩や上司に確認するのが正解です。
Q: 専門用語や略語がわからない時はどうすればいいですか?
A: 「恐れ入りますが、○○とおっしゃるのは具体的にどのようなものでしょうか?」と質問しましょう。相手も当然のように専門用語を使っていることもあり、丁寧に確認すれば快く説明してくれるはずです。
クレームや怒られた時の対応の基本
Q: お客様に怒られてしまいました。どう対応すればいいですか?
A: まずは相手の話を最後まで遮らずに聞きましょう。その上で「大変申し訳ございません」と誠意を持って謝罪します。感情的にならず、冷静に状況を確認し、「ご不便をおかけして申し訳ございません。ただいま担当者に確認いたしますので、少々お時間をいただけますでしょうか」と伝えます。
新人が一人でクレーム対応を完結させる必要はありません。速やかに上司や先輩に状況を報告し、対応を引き継いでもらいましょう。「後ほど担当者からご連絡させていただきます」と伝えて一旦電話を切っても構いません。
Q: 理不尽なクレームだと感じた場合はどうすればいいですか?
A: 電話口では反論せず、まずは「お客様のお気持ちをお察しします」という姿勢で対応しましょう。どんな内容であれ、感情的にならず「承りました」と受け止め、上司に報告することが大切です。会社としての対応方針は上司が決めることなので、新人は「正確に情報を伝える」ことに注力しましょう。
伝言をうまく引き継ぐコツ
Q: 伝言メモの書き方のコツを教えてください。
A: 伝言メモには最低限、①誰からの電話か(社名・名前・連絡先)、②誰宛ての電話か、③用件の内容、④いつ電話があったか、⑤折り返し要否と希望時間、を記録します。特に名前は正確に聞き取り、カタカナでもいいので聞こえた通りに書き留めましょう。
メモを取る際には「5W1H」(When:いつ、Who:誰が・誰に、Where:どこで、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)を意識すると漏れがなくなります。また、電話の最後に「○○様から△△についてのお電話でしたね。□□様に必ずお伝えします」と復唱して確認するクセをつけると良いでしょう。
Q: 伝言を忘れてしまいそうで不安です。確実に伝えるコツはありますか?
A: 伝言メモを取ったら、すぐに担当者のデスクに置く、または電子化してメール送信するなど、「その場で行動に移す」のが鉄則です。後回しにすると忘れる可能性が高まります。
また、緊急性の高い伝言は電話終了後すぐに担当者に直接伝えるか、不在なら別の上司や同僚に「○○さんに伝えておいてほしい」と依頼するなど、ダブルでフォローすると安心です。伝言内容によっては社内チャットやメールでも共有しておくと、万が一の際にも安心です。
電話対応は数をこなせば慣れて、確実に身につくスキル!
電話対応は最初こそ緊張するものですが、繰り返し経験することで必ず上達するスキルです。先輩社会人の多くが「最初は怖かったけど、数をこなすうちに自然と慣れた」と語っているように、慣れてしまえば難しいものではありません。
大切なのは、一回一回の電話対応から学び、次に活かす姿勢です。もし失敗しても必要以上に落ち込まず、「次はこうしよう」と前向きに捉えることで着実に成長できます。
電話対応はビジネスパーソンにとって基本的なスキルであり、社内外からの信頼を得る重要な要素でもあります。「電話対応が上手な新人」という評価は、仕事全般への信頼にもつながります。
最初のうちは緊張するのが当たり前です。しかし一歩一歩着実に経験を積んでいけば、いつの間にか電話対応に自信が持てるようになります。コツは焦らず、地道に取り組むことです。