2022.07.15 通話録音

データの蓄積から活用へ!VOCログ(音声ログ)の分析から始める業務改善

VoCログの分析 アイキャッチ

 

VOCとは「Voice of Customer」の略で、顧客の声という意味です。顧客の声は、ニーズの収集や商品やサービスの改良、オペレーションの改善などにつながります。そのため、企業はあらゆる方法でVOCを収集しています。

VOCを収集する代表的な部門がコールセンターです。コールセンターには、オペレーターが日々顧客と接しているため、膨大な量のVOCログが蓄積されています。しかし、蓄積されたVOCログを分析し、業務改善に活用できている企業ばかりではありません。

この記事では、蓄積されたVOCログの分析方法や活用のメリットを解説します。

・VOCログを蓄積しているが分析できていない
・VOCログを活用するために何から始めれば良いかわからない

このような方は、ぜひ参考にしてください。

VOCログの分析方法

VOCログは、単に蓄積しているだけでは役立ちません。VOCログは、目的を持って収集し、分析し、活用することで初めて役立ちます。では、VOCログの分析は、どのような流れで行えばよいのでしょうか。分析方法は商品やサービス、業種によって異なりますが、ここでは一般的な流れを紹介します。

①VOCログ活用の目的を明確にする

まずは、何のためにVOCログを活用したいのか、目的を明確にします。目的が明確にならないと、どのようにVOCログを分析するかを検討できないからです。コールセンターにおいて「なぜ録音機器を導入したのか」から遡って考えるとよいでしょう。

②分析したい項目を明確にする

VOCログ活用の目的が明確になったら、目的達成から逆算して、分析したい項目を明確にします。コールセンターへの入電内容はさまざまです。録音機器では、通話の内容すべてが録音されるので、VOCログデータは膨大な量になります。その中から、目的達成のために必要な情報は何かを洗い出します。

③VOCを収集する

録音機器や音声認識ツールなどを用いて、VOCを収集し、VOCログを蓄積します。

④VOCログを分析する

蓄積されたVOCログを分析します。膨大なデータ量なので、ITツールやシステムを用いるのが効果的です。②で明確にした分析したい項目を中心に集計し、表やグラフに落とし込むことで、データの傾向が読み取りやすくなります。

⑤分析結果をもとにPDCAサイクルを回す

VOCログの分析結果を、業務改善やコスト削減、生産性向上に向けて活用します。VOCログの分析は一度行えばよいのではなく、分析結果を元にPDCAサイクルを回すことが大切です。定期的に分析したい項目や収集方法、分析方法のフィードバックを行いましょう。

VOCログ分析のポイント

ここまで、VOCログ分析の流れを紹介しました。VOCログ活用の目的を明確にするところから、丁寧に取り組むことがVOCログの効果的な活用につながります。ここでは、VOCログ分析のポイントを2つ紹介します。VOC分析の流れをよりスムーズに行うためのポイントなので、ぜひチェックしてください。

①VOCログ分析の担当チーム・担当者を置く

VOCログ活用の目的を明確にしたり、VOCログの分析結果をまとめたりするのは、単純業務ではありません。コールセンターの規模が大きければ大きいほど、業務の負荷が大きくなります。コールセンターの人員が通常業務と並行して行うのは、難しいことが多いです。

VOCログ分析は、片手間ではなくしっかりと行うことで効果を発揮します。担当チーム・担当者をおくので、人件費の増大を懸念されるかもしれません。しかし、VOCログを効果的に活用できれば、業務改善や生産性向上によりコールセンター全体のコスト削減が図れます。

②ITツールやシステムを活用する

コールセンターへの入電量が多ければ多いほど、蓄積されるVOCログのデータ量は膨大になります。膨大な量のデータを、人間の力だけで集計して分析するのはそう簡単ではありません。人的ミスが発生し、正しいデータ分析がされない可能性もあります。

より正確に、効率よく分析を行うために、ITツールやシステムの活用がおすすめです。入電内容の録音、つまりVOCログの収集だけなら単なる録音機器でも行えます。「顧客管理システム(CRM)」と連携できる録音ツールや、AIを搭載した「音声認識ツール」を活用すれば、VOCログ分析と活用の質は格段にアップするでしょう。

VOCログ分析によるメリット

VOCログ分析によって、コールセンターではどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、VOCログ分析による主なメリットを3つ紹介します。

①コールセンターの負荷軽減・業務改善

VOCログの分析結果は、コールセンターの負荷軽減につながります。たとえば、顧客からのよくある質問と回答をFAQとしてまとめることです。FAQを企業の公式サイトなどに掲載しておけば、顧客はコールセンターに入電せずとも疑問を解消することが可能です。結果としてコールセンターへの入電量が減り、オペレーターはFAQでは解決できない顧客からの問い合わせに集中できます。

また、VOCログの分析により、オペレーターの業務に「ムダ・ムラ・ムリ」が発生していると明らかになるケースもあります。現場のオペレーターの声も反映させながら改善しましょう。

②オペレーターの対応品質の向上

コールセンターにおいて、オペレーターの対応品質は重要な要素です。対応品質の低さが、新たなクレームにつながることもあります。オペレーターは、自社と顧客との接点になるので、対応品質の良し悪しが自社への評価につながることを忘れてはいけません。

VOCログを分析すれば、顧客からの評価が高いオペレーターの対応がわかります。優秀なオペレーターのトークスクリプトをマニュアル化すれば、他のオペレーターの育成や新人教育にも役立てられます。

③オペレーターのモラール向上

顧客の声は、商品やサービスに関することに留まりません。コールセンターには、クレーム等のネガティブな内容が寄せられることが多いです。しかし、オペレーターへの感謝の言葉や、商品・サービスに関するポジティブな意見もあります。

コールセンターのオペレーターは、顧客からのネガティブな声を直接受け止める存在です。そのため、精神的に辛く感じる人が少なくありません。だからこそ、VOCログに蓄積されたポジティブな声をオペレーターに届けることが大切です。これにより、ポジティブな声を知ったオペレーターのモラール向上が期待できます。

VOCログ(音声ログ)分析 まとめ

この記事では、蓄積されたVOCログの分析方法や活用のメリットを解説しました。VOCログを活用するためには、まず活用の目的を明確化することが大切です。そのうえで、ITツールを用いて効果的な分析を進め、コールセンターの業務改善や対応品質向上を図ります。

VOCログは日々蓄積されていくものです。現時点で蓄積されたVOCログは、活用の余地がたくさんあります。宝の持ち腐れとなってはもったいない自社の資産です。自社に適したITツールやシステムを選び、コールセンターのよりよい運営に役立てましょう。